こんにちは、公認心理師 スワダ相談室です。

愛着障害の不安定型にあてはまるのかなと思っていますが、どうしたらいいのか分かりません。

安定型の愛着は、大人になってからでも作っていけると言われており、安定型を作っていくのに有用な1つに “メンタライゼーション” があります。それはどんなやりとりのことを指すのか、安定型を作っていくプロセスをイメージできるよう、具体例を一緒に見ていきましょう。
メンタライジングとは
事例理解のために、メンタライゼーションとは、そもそもどんなことを指すかを簡単に見ていきましょう。
メンタライゼーションの理論と臨床

- 赤ちゃんが泣いていたら、母親が「お腹すいてるのかな、オムツかな」など、母親が自分の心で赤ちゃんの心を思ったり、
. - 赤ちゃんの泣き声を聞いてイライラしたなら「自分は〇〇な状態なのかな」と自分の状態を振り返ったり、
. - 相手(大人)の言動を見て見捨てたれたと思った時、心を振り返ったり、相手とのやりとりを通して、誤解だったんだと理解するようなことを指します。
例えば、子供の鳴き声を聞いてイライラし、子供にイライラで応答する時は、脊髄反射が起きています。反射的応答する前に自分の状態を振り返るには、心を作っていくことが助けになり、心を作るには、次に出てくる具体例のように、他者にメンタライジングしてもらうことで、できていきます。
見捨てられ不安と愛着障害
本(Restoring Mentalizing in Attachment Relationships)の事例を参考に、みていきましょう。
途中の解説はスワダ相談室が加えたものです。
【事例】
相談者ケリーは、抑うつ的な反芻思考(同じ思考を繰り返すこと)に陥り、自分の人生についてまったく絶望的だと感じており、セラピスト キムに次のように言います。

私にはわかるんですが、キムさんがこれまでに接した中で最も悪いクライアントですし、キムさんは私とカウンセリングするのが嫌なんですよね。
「私にはわかるんですが」というのは「自己愛の傷つき」のキーワードのような言葉です。トップページにも書いていますが、他者と自分に境界線が薄いことから、言葉で相手に確認していないことだけど、分かるという確信があります。
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事例続き

セラピストは、ケリーさんとカウンセリングするのが嫌ではないと答えました。そして、カウンセリングの中で、セラピストが感じているフラストレーション・不満にケリーさんは反応しているのだろうかと、セラピストは自分自身に問いかけます。

私は、ケリーさんが、反芻思考から脱却し絶望以外の何かであるとみることができるように援助したいと感じています。私のフラストレーション・不満はそれが困難であることに関連しているのだと思います。
そして、セラピストの不満とケリーの夫が感じている不満に類似性が見られることについて話し合いました。

夫は私と別れ、あなたは私に見切りをつけるのではないかと感じています…
夫もセラピストも自分を見捨てるというのがケリーさんの反芻思考です。この懸念を出すことができました。

その懸念をよく言えましたね。私は不満には慣れていて、とても辛抱強いし、不満だということは見切りをつけようとすることは意味していないのですよ。ケリーさんは、夫があなたへの不満に耐えることができないと思っているのでしょうか。

まったく逆で、夫は「信じられないほど忍耐強く」そればかりか、夫は私がいずれ抑うつを克服できるという確信を抱いていて、その点では「頑固」だと思います。

夫が自分を見捨てるというのとは異なる物語がでてきました。夫とセラピストが、ケリーに見切りをつけるだろうという確信は、ケリーの反芻思考であること、そしてそれは事実ではなく確信の一部であることを、少なくとも瞬間的には知ることができました。
セラピストがメンタライジングしたことをケリーさんに返し、ケリーさんが夫もセラピストも自分を見捨てるという懸念を言えたことで、その後のやりとりから、それは確信の一部で、事実ではないと認識する心の芽が育ち始めています。
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家族にも彼にも本音を言えない方に合ったカウンセリング探し方
いかがでしたでしょうか。
事例から、メンタライジングがなんとなく見えてきたでしょうか。

フラストレーション・不満を感じてるなんてことを、カウンセリングで言うことにびっくりました。

特に日本ではびっくりされることかもしれません。もちろん、カウンセリングの場が安心安全の環境になっていることが大前提だと思います。セラピストが気づいたことを何でも言うとことはもちろんなく、上記の場面では、それを言語化したことから展開される事例でした。
最初ケリーさんに「キムさんは私とカウンセリングをするのが嫌なんですよね。」と言われた時、もしセラピストが例えば「そんなことあるわけないでしょう!」と脊髄反射的に反応したなら、場は硬直したでしょうし、それはケリーさんの幼少期の身近な人とのパターンと同じになるかもしれません。

「自分とカウンセリングするのが嫌なんだ」と感じてるケリーさんの心をセラピストが心で思い(メンタライジング)そして、自分の心ではどんなことが起きてるのか「あ、自分は不満を感じているだ」とセラピストが気づき(メンタライジング)それを言語化しました。それは、”セラピスト- クライアント関係” が場に持ち込まれていることを指します。
もし、”セラピストークライアント関係” が場に持ち込まれなかったら、
・夫との関係をあなたはどう思いますか。
・夫はどんなことから、あなたにそう言っているのでしょうね。
のように、ケリーさんと夫のことを聞くだけが続くかもしれません。
転移・逆転移を見るカウンセリングに行こう
愛着不安定型は、間主観や情緒の次元での傷つきが考えられ、その場合「セラピストは見捨てる」のような、幼少期に養育者等との間で感じたことを、セラピストに向ける “転移” が、十中八九起きます。そして、セラピストが感じることを “逆転移” と言いますが、それがこの事例では不満でした。

オンラインカウンセリング
間主観や情緒の次元の傷つきがある場合に、”セラピスト-クライアント関係” つまり、転移・逆転移を見ることなしに、質的な変化を感じることは難しいと体験から感じています。当相談室では、その視座も取り入れて行っていますので、気になった方はぜひ初回お試しカウンセリングをご利用くださいね。

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8月先着 3名様
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